どしろうと製作所:WebLog

どしろうと製作所のBlogバージョンです。
「どしろうと製作所」のHPの記載内容とはあまり関係無いです。
気が向いたときのみ更新します。
書籍紹介:熊とワルツを(1/2)
「リスク管理はおとなのプロジェクト管理だ」
(書籍より)

しばらくトム・デマルコ氏の書籍シリーズを続けます。
今回は「熊とワルツを」。タイトルだけでは何か分かりませんが、冒頭に記載したようなリスク管理の考え方を示している書籍です。
くまー

プロジェクトで発生するリスクに関して深い洞察、技術的な適用方法を提示してくれております。具体的なツールや手順まで紹介されておりますので、現場への適用を試してみることが出来ます。
プロジェクトやチームを率いる人、マネージャは必読&身につけておくべき技術ともいえる内容です。
■書籍の構成
書籍は以下の構成です。

(プロローグ「信念の倫理」)
1.なぜリスクを管理するのか
2.なぜリスクを管理しないのか
3.リスク管理の方法
4.数量化の方法
5.嘘かまことか

なぜリスク管理が必要か?⇒実際のリスク管理の方法(ツール込み)⇒価値の測定の紹介、…といった流れですね。


■各章単位での感想、コメント
以下、それぞれの章単位でのコメントを記載しておきます。

プロローグ「信念の倫理」
こちらは、次の記事で紹介します。

1.なぜリスクを管理するのか
「リスクのないプロジェクトには手をつけるな」から話が始まります。
チャンスには必ずリスクが存在する、ということでオンライントレードに対してリスクを回避する(やらない)方針としたメリル・リンチが出遅れた例を紹介しております。

そのうえで、明確にリスクを管理しないプロジェクトを「こども」と言いつつ、「リスク管理は大人のプロジェクト管理だ」と主張しております。

例として書籍に紹介されている内容が滑稽というか…
・シカゴで働く2人(ふつうの人とITマネージャ)がサンフランシスコの昼開催の打合せに出張します。
・ふつうの人は前日入りしています。
・ITマネージャーは当日朝の飛行機を予約します。
 タクシーで空港に行こうとして渋滞につかまりイライラ。
 飛行機が遅れる可能性のアナウンスで怒鳴り散らす。
 飛行機の遅れが告げられると「クビにするぞ」と発言する。

まー、笑い話のようで笑えない思い出がある人もいるかもしれません。

こういったリスクの重要性を紹介したうえで、以下のリスク定義とリスク管理のプロセスを紹介しております。

☆リスクの定義:
1.将来起こりうる出来事で、望まない結果を生むもの。
 ⇒こちらを「リスク」としています。
2.望まない結果そのもの。
 ⇒発動したリスクで、「問題」として別扱いしています。

☆リスク管理のプロセス
・リスク発見
・エクスポージャー分析
・危機対応計画
・軽減
・継続的な移行管理


2.なぜリスクを管理しないのか
書籍に皮肉屋の素振りが多くみられるデマルコ氏らしい章です。
「リスク管理をすべき理由は殆どない」と言いつつ、”経営スタイルとあわない時がある”といった表現をしております。(まー、皮肉ってますね)

組織の意見、不確実性、運に頼る人々…といった感じでいくつか理由を項目化しておりますが、個人的に「デスヨネー」という内容が以下。

「単独でリスク管理をするのは危険である」
1人のマネージャーのみがリスク管理をしても意味が無い、といわれています。さらに、それを公表すると不利な立場におかれる…というもので、やっかいですよねぇ。


3.リスク管理の方法
リスク管理の重要性を説いた後で、実際の方法を紹介してくれております。メインコンテンツでしょう。具体的かつ細かく手順を示していますので、読み込むことで現場へ適用も出来る!という感触があります。
以下のような内容が紹介されております。

・不確実な内容を図で示す方法
CCPMの手法の説明でも活用されているベータ分布グラフを用いて不確実性をモデル化しています。
「ここで終わる」と無茶なスケジュール定義された日を「N(ナノパーセント日)」としてナノパーセントで終わるかもしれない日(!?)として、そこからの終了日程を可能性の割合として設定しています。
根拠部分は他の文書を読む必要があるかもしれませんが、直感的には使えますね。

ツールに関しては実際にダウンロードして実際のプロジェクトのシミュレーションも可能です。
ちなみにExcelベースでこちらからDL可能。
後ほど試してみる予定です^^

・リスク管理プロセス:リスク発見
書籍では、よくあるリスク(コア・リスク)を紹介したうえで実際のリスク発見プロセスを紹介しております。

コア・リスクはこんな感じです。
・スケジュールの欠陥
・要求の増大(要求が決まらない、も入るかも)
・人員の離脱
・仕様の崩壊
・生産性の低迷

実際のリスク発見の手順は以下です。
・破滅的な結果についてのブレーンストーミング
・上記結果に結びつきそうなシナリオの構築
・根本原因の分析

なお、リスクの発見方法は「昨日(過去)の問題」を用いる方法も紹介されております。

リスクリストが完成したところで、対処策(避ける、抑制、軽減、かわす)といった検討を行うといったことを提示しています。
これらは、それなりの企業でのリスクの管理方法と似たような分類でしょう。


・リスク管理プロセス:エクスポージャー分析
こちらもよく見られるリスクの評価方法ですね。
「リスク発動時のコスト × リスク発動の確率」を評価数値にする内容。

これは、個々の対処の判断というよりは、リスクを考慮したプロジェクトシミュレーションに使用するという方針が強いようです。

また、関連して「ショーストッパー」という概念が提示されております。
このショーストッパーは、万が一実現すると製品の作り直しやプロジェクトを完全にやめる必要が発生するリスクということです。これらに関しては、上位管理職と共有して扱うべき…ということで示されています。

(心の声)
実際には発動するまで「ショーストッパーです!」と言っても無視されるんだよなー。


・リスク管理プロセス:危機対応計画・軽減(リスク準備)
リスクに対応するために、リスクを考慮した準備スケジュールや、軽減するための活動をスケジュールに組み込むことを提案しております。
実際のスケジュールの進捗状況に対して、リスクでのマージンを用意する感じです。

個人的な意見としては、CCPMのバッファに近い考え方にも見えます。
むしろCCPMのバッファ量はリスクに応じて決めるべきなのかもしれませんね。


・リスク管理プロセス:継続的な移行管理
簡単に言うと移行の指標に対してモニタリングしましょう、といった内容です。
この際、検知の感度を高め過ぎることや誤判断時のコストに対しても注意する必要があります。


4.数量化の方法
リスクとは別に「価値の数量化」について述べております。
以下の(よくある?)皮肉的紹介が分かりやすいです。

コスト=623万5812ドル55セント
効果=どうしても必要だ

「コストと効果は同じ精度で表す必要がある」という表現が非常に的を射ております。

ここで、価値においても不確実が存在する…という意見からリスク同様の管理手法を用いる提案がされております。
こちらの内容はページ数は少ないですが非常に興味深い知見が紹介されておりますので、リスク分析同等に身につけることが出来ると役立ちそうです。
「価値はリスクを相殺する」というように、リスクのモデルと価値のモデルを比較することでプロジェクトの実施判断を組織として行うことが出来ると良いのでしょうね。


5.嘘かまことか
僅かですが、リスク管理が実際に出来ているか?の検証方法が記載されております。
「ここまで出来ていればよいだろう」といった線引きがされておりますが、実際に出来ている組織は少ないのではないでしょうね。


本内容、非常に知見が多く、実際に適用するためには何度も読み返して理解を深める必要があると感じております。仮に小さく適用してツールや仕組み化してみようと考えています。上手く出来たらBlogにまとめてみます。

書籍の内容はここまでですが、本書籍に記載の「信念の倫理」という論文が引用されておりました。
こちらの内容もとても心に残る内容でしたので、次回紹介します。
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