どしろうと製作所:WebLog

どしろうと製作所のBlogバージョンです。
「どしろうと製作所」のHPの記載内容とはあまり関係無いです。
気が向いたときのみ更新します。
書籍紹介:熊とワルツを(2/2) 〜信念の倫理〜
以下は書籍に対する趣味的なおまけです。

書籍「熊とワルツを」にはプロローグとしてウィリアム・キングドン・クリフォード氏の「信念の倫理(The Ethics of Belief)」論文発表の様子が示されております。
※英語を見る限り「信じることの倫理」という表現でも良いかもしれませんね。
また、書籍の付録として論文の第1部が紹介されております。

書籍ではプロジェクトに関わるメンバーが「どうしても間に合わないプロジェクトに対して期限に完成出来ると信じてしまう」ことの対比として紹介されているのですが、この論文自体が非常に興味深い内容となっておりましたので紹介しておきます。
■「信念の倫理」の内容紹介

以下、一部引用--------
問題に対する一方の見方を強く信じている人、あるいはもう一方の見方を信じたいと思っている人は、真剣に疑念を抱き、先入観を持たない人のように 公平かつ完全に問題を調査することが出来ない。
すなわち、公正な調査にもとづくことなく信念を持った人は、必要な調査を遂行するのに適した人物ではない。
また、信念がその人の行動になんら影響を及ぼさないとしたら、それは本当の信念とはいえない。自分を行動に駆り立てる何かを本当に信じている人は、その行動をとりたいと望んでいるのであり、心の中ですでに罪を犯しているのである。
信念がただちに表立った行動としてあらわれないとしても、それは将来の指針として心の中にしまい込まれる。それは人生のあらゆる場面で感覚と行動を結びつける諸々の信念のひとつとなる。
それらの信念は複雑にからみ合って凝縮されているため、一部だけを切り離すことはできないが、新たな信念が加わるたびに全体の構造が変わる。
どれほど些細で断片的なものにみえたとしても、まったく意味をもたない信念などない。人はひとつ信念を持てば、さらに同じような信念を受け入れるようになる。以前からの信念を裏付けるものに出会うとさらに信念を深め、そうでないものに出会うと軽視する。
こうして徐々に心の奥底にひそかに積み重ねていったものがいつか表立った行動として爆発し、その人の人格として永久に刻まれるかもしれない。
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こちらの論文の内容は、船主が老朽化して修繕が必要である船に対して「まだ大丈夫」と”思い込む”ことで出港してしまい、結果として船が沈んでしまう話からはじまります。
また、もう一つの例として、とある宗教を広めている信者が法律を悪用していると”思い込む”ことにより、信者を告発して傷つけようとしています。この告発された信者は最終的に無罪であると示されます。
この際、告発側は信者に対して悪い情報を集めているのですが、情報収集の際には無罪の証拠も手に入っていたことがわかります。

これら2つの例において、判断に罪はあるのでしょうか?論文の中では罪であるといっています。
船主の例では、船が無事であったとしても出港の判断をした時点で罪である、という主張もあります。
信念は信念を持つ本人だけではなく、周囲の人にも影響を与えるものです。
この際、信念の根拠として”真実”を用いる必要がありますし、”真実”を根拠としていることを慎重に見極めなければいけない、という内容です。

真実を根拠としない信念を持つ場合には、自分の信念に都合の良い情報を根拠に揃えて独りよがりな判断を深めて、都合の悪い真実を遠ざけてしまうのですね…
信念を支える真実について注意して確認を行い、正しい信念を持つ重要性を語っております。


■「信念の倫理」に対する個人的な意見

さて、論理思考やTOCの思考プロセスが好きな自分の意見となりますが、本論文の内容を実際の活動に役立てるためには、信念に対するロジックを外部に書き出すことが出来るようにしておく技術が必要ではないかと考えます。
人は「何となく」考えていることに根拠を沿えて、自分を肯定する支えを用いて意見を強く主張することが出来たりします。しかし、真実でない内容を根拠としていることにより周囲を傷つけてしまう可能性も有ります。
信念に対する根拠を整理してロジックとしてまとめることで、周りに「この根拠となるXXの意見は最近は否定されている内容ですよ」という共有での確認を行うことが出来るのではないでしょうか。

TOCfEで使用するツール「ブランチ」を用いると、以下のような構造を作ることが出来ます。
信念の構造
※ロジックツリーでも同じようなことが出来ますね。

このような構造で信念が構築されていれば、周りの人たちとの共有が出来ます。これらの根拠に対して「思い込み」の部分を自分で再確認する/周囲から指摘される、といった活動で見直すことが出来れば、真実を基とした信念を持つことが出来るのではないでしょうか。

信念を表すことが出来るロジックの構築力、自分の考えを見直して周りの意見を素直に聞き入れる力、信念を持つことに対してこれら2つが重要であることを理解することが出来ました。


あり得ないことに対して当たり前のように信じ込む活動が行われている組織や世界も有りますが、そのような世界が「真実」をもって考えるようになると良いですね。
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