どしろうと製作所:WebLog

どしろうと製作所のBlogバージョンです。
「どしろうと製作所」のHPの記載内容とはあまり関係無いです。
気が向いたときのみ更新します。
”誤なぜ”を防ごう!なぜなぜ分析の問題を分析してみる
なんか効果があるという信仰心の強い「なぜなぜ分析」。
現場の人たちはこの分析方法になぜかうんざりしていることが多いようにも見えます。
先日、以下のTogetter「なぜなぜ分析のなぜなぜ議論」でまとめたような議論も有りました。

昔から「なぜなぜ分析が嫌われる傾向」に対しては興味があったのですが、この機会に一回まとめてみようと思います。

なお、以下の検討は個人の検討の結果ですので、違和感等ありましたら意見を頂くことでよりよい分析結果に繋がると考えております。コメントや意見ありましたらお願いしたいです。

■よくある(かもしれない)なぜなぜ分析。

★実際ありそうな例
まあ、Excelでやっているとかはおいといて、こんな感じになるかもしれません。
※あえてひどい感じの表現にしております。
なぜなぜー
※クリックで拡大

上記では、対策が「出荷前にちゃんとテストを行う」になる可能性もあります。「テスト内容の結果を書面に残し、上長の確認を承認をハンコで残す」といったことが徹底化される可能性も有ります。
また、「教育不足」や「意識不足」という名のもと、担当者を厳しく叱りつけるような行為が対策になってしまう場合もあるかもしれません。


★上記例において検討が不足している可能性
しかし、実際に調査すると以下のような情報が得られるかもしれません。

・並行で行っていた開発で性能面の向上となる改修を実施していた。
・その性能面向上を取り入れたソフトウェアが出荷されていた。

以上のような情報を確認していない状況で結論を出してしまった場合には、今後も他に問題が発生してしまいそうです。例としては…

・ソフトウェアの構成管理で問題はないか(構成管理システム自体が使用されて無い可能性も想像できます)
・(上記ではテストチームと開発チームが分かれてそうですが)変更点をチーム間で共有自体しているかどうかも怪しい

他にも、テストさえ実施すれば見つかった問題かどうかもわかりません。テストケースが不具合を見つけられるように考えられていたか?もわかりません。

とにかく結果としては、なぜなぜ分析で何らかの対策は実施されますが、実際には手順と手間が増えるだけで現場が「なぜなぜ分析なんてやってられるか!」と感じてしまう「残念ななぜなぜ分析(誤なぜ)」が発生してしまっているかもしれません。


■なぜなぜ分析で発生しやすい傾向(サマリ)

ソフトウェアに限らないとは思いますが、体験+見聞きした内容から考えてみました。なお、SE的な経験上の視点ですので、ハードウェア側での分析を行っているような方とは感覚が異なるかもしれませんのでご了承ください。

大きく以下の4つに分割して紹介してみようと思います。

1.改善を求める組織において発生しやすい傾向
2.問題に対する意識で発生しやすい傾向
3.因果を考え分析することに対しての傾向
4.最終的に形骸化してしまうまでの傾向


■なぜなぜ傾向1:改善を求める組織において発生しやすい傾向

それぞれの傾向に関しては、因果関係をある程度考慮した関係図を示しながら考えてみております。
改善せよ!
※クリックで拡大

組織は改善を行うことでより売上を増加させ、コストを減らして最終的な利益を求めます。ここから、組織では継続な改善を求める文化が存在していることが多いです。
このこと自体は良いことなのですが、さらに「改善≒問題に対して何らかの対策を実施する」と考えてしまうような傾向も出てきます。

大きな組織では改善担当専門の役割の人がいる可能性もあります。そういった人達は、改善の責任や実績というものが評価基準になっている場合も有ります。
そういう改善の役割が明示的に無い場合でも、管理職などの役割には問題に対して何らかの対処が求められているようなことが多いです。

さて、このような役割や改善を求めるような場があるとして、因果や目的を考えるスキルを重視していない場合にはどうなるでしょう。
※以前書いた「何のために思考」もこのスキルが必要です。

なぜなぜ分析が組織で強制的に実施されるとして、なぜなぜ分析を実施する目的自体を想像できない、していない場合も有ります。
そのような場合には、「特定の問題を明らかにして、対策を行う(増やす)」ことばかりを目的としてしまう活動となってしまう可能性があります。


■なぜなぜ傾向2:問題に対する意識で発生しやすい傾向

★問題を考える場で発生しやすい傾向
次は問題に対する捉え方、意識に関して発生しやすい傾向です。
問題は悪だ!
※クリックで拡大

ソフトウェアの問題というものは「人」が関係することが多いです。
問題が人に関係する場合には特に「誰かが悪いことをした」と考えてしまい、その責任を問う行為を行おうとしてしまう場合があります。
※過去に書いたバグ票での問題も同様の傾向があると思われます。

そのような誰かが悪いと考えて責任を問う行為が発生しやすい「場」において、以下の点が加わるとどうなってしまうでしょうか。

・なぜなぜ分析を実施する目的を想像していない・出来ない
・人と問題を切り分ける考え方が身についていない
・問題を明らかにして対策を行うことが目的と考えている

結果として、問題を悪行とみなしてしまい、それを探して”ペナルティとなる対策を行わせる”ような行動が「改善活動」と称して行われてしまうかもしれません。

ここでは「なぜなぜ分析特有の傾向」も関連しているように書いておりますが、「問題を分析する場」ではなぜなぜ分析以外のどんな手法を用いても起こりうる可能性があります。
問題分析の場ではなぜなぜ分析を使うことが多いので、なぜなぜ分析の問題のように見えてしまうのでしょう。


★さらにひどい場合、起こる可能性がある状況
さて、以下についてはモラル面的な問題もあるかもしれませんし、ここまでに達する組織は少ないかもしれませんが…、酷い場合にはなぜなぜ分析の場を「分析以外」に使う場合も考えられます。
要素を先ほどの図に追加しておきます。

罰を与えよ!
※クリックで拡大

問題分析の場を上下関係や自己顕示欲を示して「自分に従わせる」場として使用するような場合も無くはありません。
※これを行う管理職の方は、漏れなく問題解決力が低いです…

この行為に「なぜ」、「なぜだ!」という問いかけが人を責めるという増幅効果を持ちやすいです。
結果として、なぜなぜ分析の場が「人を責める」ような場になってしまうことになります。

以下のような感じの場になるのですかね。
泣くまで!やめない!
Copyright 荒木飛呂彦@少年ジャンプ


■なぜなぜ傾向3:因果を考え分析することに対しての傾向

次の傾向分析の図に移動してみましょう。
5回も深堀しても何も出ないよ
※クリックで拡大

いくつかの場所で出てきておりましたが、「因果や目的を考えるスキル」を組織では重視している人が少数であることが多く、この思考方法をうまく使いこなしている人は(自分が経験した場においては)少ないように見えます。

問題の分析を行うときにはこのスキルは重要と考えております。このスキルがあることで、目的を考えながら活動をすることも出来ますし、問題の関連や不足した内容を整理して考える事が出来るようにもなります。

しかし、なぜなぜ分析を必須としている組織に置いて、同じ組織が問題の因果を考えるスキルを重要視していないという矛盾が存在します。この因果を考えるスキルの向上、因果を上手く考える行為は、なぜなぜ分析を単純に行っただけでは向上しづらいと考えております。

なぜなぜ分析で発生しやすい因果関係検討に関する課題をいくつか記載してみましょう。

★因果関係検討時の課題 А屬覆次廚箸いΔ量笋い麟K罎
なぜなぜ分析では、なぜなぜ分析は、単純に「なぜ」を問い続けるような進め方と思われるようなのですが、「なぜ」という質問は結構乱暴な質問方法です。
「なぜ」の回答としては、背景や対象の分解(ソフトウェア/ハードウェア/ネットワークを切り分ける等)、部門単位での行動や部門間で発生する問題点など様々なものがあります。

これらの「どの切り口で検討するか」を全く決めずに一言「なぜ」と問うのですから、分析に慣れた人でないと考える行為が難しく、大変に感じるのではないでしょうか。

結果、曖昧な問いからは曖昧な因果関係の検討しか出すことが出来なくなってしまいます。

上手く考える手助けをするのであれば、「どのモジュールで?」「どういった背景で?」「同時に何か作業があった?」「時系列で状況を整理しよう」といったような、分析対象を絞り込むような質問を行うことが解決に向けてのテクニックの一つとなります。
このような検討をするために思考技術や問いかけ技術をあわせて活用出来ると良いかもしれません。


★因果関係検討時の課題◆Ц‘い竜述形式・枠に対する縛りの強さ
最初に紹介した例におけるExcelのような形式で5回分の検討の枠が渡される場合、さらに「5階層目までたどり着くような検討が出来ているか?」というチェックが発生するかもしれません。

因果関係はチェック出来ずに「5段階の検討」を縛りにしてしまうと、当たり前で考える必要のないモノや、意味のないモノを引っ張り出してしまう可能性も有ります。問題も対策も検討がイマイチであれば、問題を解決するような解決にはつながりません。

その結果として出てくる「対策」を強迫観念的に追加してしまった場合には、改善の実感のない作業ばかりが増えてしまう…という現場的にはうれしくない状況となります。

他にも、組織の問題点で触れられない部分を回避する(分析時に意識的にも無意識にも思考から外してしまう)といった行為も検討不十分に繋がることもありますが、今回の検討では外しておいております。


★検討の手間と価値の比較による影響
さて、図をもう一段階バージョンアップしておきます。
決まった解が無難だよね
※クリックで拡大

検討結果が改善の実感も効果もないものになっているとしましょう。
さらに、縛りのある検討が求められている状況下で、因果を考えるスキルを鍛えていないのであれば、当然問題を考える行為には時間がかかって辛い作業となってしまいます。

考える事が辛く、時間がかかる割に効果も出ない…となると以下の行為に繋がる可能性も有ります。

・決まった解をいくつか用意して分析作業を手早く済ませる
・(どうせ改善の名のもとに作業が追加されるなら)現状の活動に影響のない追加作業となるように分析検討を組み立てる

さらに改善推進の担当者も「問題&対策」を行うことが目的となってしまっているような状況だとすると、決まった解に辿りつくことが、問題を分析する側と改善推進側の利害一致となります。
それが改善という名の追加される義務作業として影響が少ないものであればさらに良いでしょう。

ある意味、関係者が幸せになる解決策に辿りついているのかもしれません。


■なぜなぜ傾向4:最終的に形骸化してしまうまでの傾向

さて、以上の状況から最終的な状況は予想できるようになると思われます。
形式的が楽だよね
※クリックで拡大

決まった解に辿りつくようになることが目的の分析では、形式的ななぜなぜ分析が行われます。
具体的には、以下のような検討結果が出るかもしれません。

・「徹底する」「周知する」「チェックリストに追加する」
・レビューを強化する。専門家にチェックを依頼する。

さらに、改善の実感もなく、分析の場は人を責めるようになっているのであれば、「なぜなぜ分析への嫌悪感」が完成するでしょう。

最終的な結果は、形骸化したなぜなぜ分析文化となるのではないでしょうか。
ここまで辿りつくと「誤なぜ文化」と呼んでも良いかもしれません。


■なぜなぜ傾向:全体像

今までの分析を全体としてまとめた内容が以下のようになります。
全体構造、見づらいかも
※クリックで拡大

ただ、この図では大きくて見づらいと思いますので、今までに紹介した4つの分割した傾向を見ながら考えてみた方が分かりやすいかもしれません。

この図から考えると、改善に繋がるポイントがいくつかありそうですね。

・人を責めるような場を発生させない
・単純に問題の対策を求める場を回避する
・因果関係を考えやすい方法を組合わせる
・スキルを高め因果関係を考える・チェックできるようにする

問題分析で疲れましたので、対策についての言及は省略しておきます^^


■まとめ

なぜなぜ分析の問題は、なぜなぜ分析の考え方が問題という部分は少なく、「問題分析」という場や「改善を求める組織」自体によるものもあるということを推測することができました。
また、因果関係を考える力をつけることで、より良い分析が出来ることにもつながると思われます。

この検討結果が多少なりとも「なぜなぜ分析って嫌だー」という状況を良くするための参考となりましたら幸いです。

なお、この内容は個人の検討で複数の人の意見などは含まれておりませんので、「他にもあるよ」「こんなこともあるんじゃないの」という意見がありましたら、コメント頂けるとありがたいです^^
| 論理思考 | 12:59 | comments(0) | - |









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