どしろうと製作所:WebLog

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CCPMのおはなし3-9(実践編9):番外編 Ц積もりの削減とバッファ設定方法
CCPMのおはなしシリーズです。
実践編紹介中です。具体的な実践手順を1つずつ紹介しておりましたが、一旦CCPMでの計画方法に対する補足情報を番外編として紹介しておきます。
1つ目として、見積りの削減と全体バッファの設定量に関しての意見となります。

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<参考情報>
本内容は連載的に紹介しております。本記事の前提や全体的な構成についてはこちら(リンク)を参照ください。
現在記載の内容は実践編です。こちらの前提や構成に関してはこちら(リンク)を確認ください。
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さて、計画の実施方法について紹介しましたが、CCPMの計画の特徴である「見積りをギリギリまで短くする」及び「全体バッファを設定する」方法に関して疑問が生じる人もいると思いますので、本記事でその理由、現場での実施パターンを記載しておきます。


■おさらい:CCPM計画の特徴を抜粋

関連する記事は以下の2件になります。

計画を作成する◆Ц積りとリソース制約の設定
計画を作成する:クリティカルチェーンを決める

これら手順の中で、以下のように記述しております。

※見積り方法
 50%の確率で終わるかもしれないが、期間の短い攻めた「Aggressive but Possible(ABP)」的な見積りを実施。

※全体バッファの設定方法
 クリティカルチェーンの半分の大きさを全体バッファとして設定。

紹介した方法(具体性が低い)
※クリックで拡大。


上記の記事では見積りをどのくらい短縮するか?、全体バッファは単純にクリティカルチェーンの半分であるのは何故か?といった部分は言及せずに手順を紹介しておりました。
以下、これらの見積りと全体バッファの設定に対して補足説明をしておきます。


■CCPMでの推奨的な方法

CCPMでは上記の攻めた見積りと全体バッファの設定に関して、最も単純に実施する方法を以下のように紹介しております。

 ズまでの見積りと同じ方法でタスクの見積もりを実施する。
◆ジ積もった結果を全て半分にする。
.上記の結果で完成したクリティカルチェーン期間の半分を全体バッファとして設定する。

CCPMの推奨案

上記では、全体バッファがあるとはいえ元の予定の75%の短縮した工期を求めることになってしまいます。
「え、本気で?」と思う方も多いでしょうし、「そんなこと、現場が認めないよ」と感じるでしょう。実際に、現場でトップダウン的に「工期を75%にする、ただしバッファはつけてるよ」と言っても、現場の人たちの納得は得られないと思われます。

この工期短縮となる判断を行う際には納得出来る明確な理由を説明する必要があります。それでないと、現場での反発は逃れられません。
この納得感を得るためには、CCPMの原理からの理解が必要となってきます。


■CCPMでの推奨的な方法の理由

上記の理由を(原理編の紹介を参照しながら)簡単に紹介しておきます。

★見積りを半分にする理由
以下の「原理編」の記事が参考となります。
CCPMが解決する対象問題の関連性と解決方針
「■CCPMによる解決方針」に記載しています。

ざっくりとした説明をすると「統計的にタスク全体の50%は見積りの半分の時間内で終わる(見積りのβ分布より)」、「見積り時間より余裕があると学生症候群やパーキンソンの法則で時間が無駄になりやすい」という想定があり、「遅れた部分は判定出来てすぐに解決できる」という仕組みがある前提で、見積りを半分にすることを推奨しております。


★全体バッファを半分にする理由
こちらは、具体的な記述を行っておりませんでした。

工期に影響するクリティカルチェーン上の各タスクの遅れが判断でき、それをチーム・組織で解決出来るならば、工期は一定量短縮できるという前提で全体バッファを半分する(≒最初から工期を短縮する)ことを推奨しています。

ここで、全体バッファの使用が100%以内で終了するならば、元の工期と比較すると75%以内の工期で完了することになります。
バッファ使っても良い
※クリックで拡大。

「CCPMの問題を検知する仕組みを用いて組織的に問題解決が出来るのであれば、工期は25%以上短縮できる」 ⇒ 「全体バッファ込みで短い計画にしておこう」という考え方です。

この全体バッファを半分にすることで、全体バッファ込みで元々の計画工期から75%にする、という理由はキリの良い数字であり、経験的に効果が出る良い値であったため…ではないかと予想しております。

ここで、チーム・組織で問題を解決する仕組みに関しての言及は以下で紹介しています。
CCPMの手順と問題解決の関連性
以下、2つの節を確認して頂けると良いです。
「■2.進捗状況の数値管理(バッファ管理グラフ)の作り方」
「■(参考)CCPMは実際はもっと広い範囲で対策をしております」

ここで、CCPMの仕組みは組織的(な大規模で)実施が出来るとその効果が増加し、組織の問題解決力の限界まで工期短縮をすることが出来る、という前提によって工期を25%短縮できると考えることが出来ます。

つまり、上記の「見積り半分、全体バッファはクリティカルチェーンの半分⇒元の工期の75%」には以下の前提が有るのです。
・組織的に問題を解決する仕組みが出来ている
・組織的に問題を解決できる

組織的に問題を優先順位づけて考えることで効果が出るということであれば、逆に組織的では無く、5人程度のチーム単位のような小さく実施している場合には、CCPMによる工期短縮には限界があることを頭の片隅に置いておくと良いでしょう。


■CCPMを(特に小さく行う場合の)注意事項

「CCPMさえ実施すれば工期が短縮できる」

といった勘違いしてはいけません!

バズワードが大好きなエライ人が「CCPMを取り入れれば(何もせずに)工期が短縮できる」と考えてしまう場合もあるかもしれませんが、工期短縮が出来る理由は上記に述べたような…

・組織的に問題を解決する仕組みが出来ている
・組織的に問題を解決できる

という仕組みが前提です。何もせずに工期が短縮できるなんてものは無く、マネージャ層などのエライ人を含めた問題解決力を最大活用することで、工期が短縮されることは知っておくべきです。
ダメな例と良いCCPM
※クリックで拡大。

実際に、CCPMで工期短縮をしようとすると問題解決を続けなければならなく、マネージャは特に大変ですよ!


■現場での現実的な方法

さて、本記事のシリーズでは「CCPMを小さく適用する方法」を紹介しております。
ここまで読まれると、小さく適用する場合にはCCPMの効果は25%工期短縮までは言えず、限定的となってしまうことは予想できると思われます。

ただ、CCPMは理論的に整備された仕組みであり、問題の優先順の判断、全員で問題点を共有するという点においては優れております。この仕組みだけでも有効活用する価値は十分にあります。


ここまで紹介した背景を踏まえ、現場でCCPM的な見積り・全体バッファ設定するためのパターンをいくつか紹介してみます。

★パターン1:見積り半分、残り全てを全体バッファ
50%な見積り

CCPM推奨手順と同様に見積もりは半分にしますが、半分に減らした分は全て全体バッファとして設定します。
結果としての工期短縮は行いませんが、バッファ状況で遅れの把握と問題の優先順判断は可能です。

全体工期は変わらないので、現場からの反対といったことは少ないはずです。
マネージャがコッソリと進捗から遅れと問題の優先順位を把握するために使用することも可能です。
また、個人のタスクマネジメントとしてもこの方法を活用しやすいです。

このパターンでは、見積り75%、バッファ25%とするようなバランス調整も可能です。
75%な見積り


★パターン2:単純に全体バッファをつけるだけ
コッソリバッファ系

こちらは、マネージャがコッソリ持っている(ことの多い)プロジェクトバッファを全体バッファとして設定することで、遅れを把握する仕組みになります。
特にコッソリとマネージャが進捗を把握するために使用する場合に使えます。
最初から無茶なスケジュールが要求されているような場合には、こちらの方法も効果的な場合も多いです。


★パターン3:2点見積もりの最短を見積り、最長までを全体バッファに

2点見積もりは、最短の見積りと最長の見積りの双方を出す方法です。
最短の見積りでは、「邪魔が入らない前提で」という想定を入れておくと良い感じに見積りを出しやすいです。
最短、最長が出たのであれば、最短見積りのみをクリティカルチェーンに、最長-最短の期間の合計値を全体バッファにすると良いです。
2点見積もりとCCPM
※クリックで拡大。

こちらは、実際に見積もった数値を活用した計画作りになりますので、現場の納得感のある計画を作りやすいです。


■見積り短縮と全体バッファによる全体工期の短縮についてのコメント

ここで、見積りの短縮と全体バッファの設定による全体工期の短縮に関してコメントを入れておきます。

A) 全体工期を短縮できる場合、効果のある場合:
組織側の支援も得られる場合や、問題解決の期待が持てる場合には、全体バッファ含めた工期を短縮することは効果的です。
また、意欲のあるチームでは短縮した見積りを行いつつ、成長を期待することも出来ます。

他にも、「効果が期待できる」対策と共にCCPMでの工期短縮を組合わせると上手く行く場合が有ります。


B) 全体工期を短縮してもイマイチの場合:
下手に工期を短縮すると現場のモチベーションも下がりますので、問題解決も出来ない、効果のありそうな策も無い状況で「CCPMだ!」と言って短縮する行為は推奨しません。
対策もないのに…
※クリックで拡大。

このような場合には、工期は短縮せず、CCPMの問題の優先順の判断、全員で問題点を共有するという点を有効活用すると良いでしょう。
問題の優先順判断のCCPM
※クリックで拡大。


以上で、見積もりの削減と全体バッファ設定方法について見解を述べてみました。
この見積りの短縮に関わる部分は誤解が発生することも多く、全体バッファがあるからといって無策での工期短縮はお勧めしませんので、こちらの記事を多少なりとも参考にして頂ければと思います。

次回は、計画が既に存在して作業が行われている状況で、一部をCCPMに切り替える場合の方法について紹介してみます。
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