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CCPMのおはなし4-2(応用編2):CCPMが効果が出しやすい適用先とその理由
CCPMのおはなしシリーズです。
今回は応用編です。今回はCCPMにて効果が出やすい条件となる適用先、及びその理由について紹介してみます。
※応用編はCCPMの用語や知識をある程度知っている前提での紹介になりますのでご了承ください。

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<参考情報>
本内容は連載的に紹介しております。本記事の前提や全体的な構成についてはこちら(リンク)を参照ください。
現在記載の内容は応用編です。こちらの前提や構成に関してはこちら(リンク)を確認ください。
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応用編の第1回として、実際にCCPMを適用する際に効果が出やすい適用先とその理由を紹介します。
CCPMも手法である限りは万能ではないと(筆者は)考えております。そのため、手法としての得意・不得意とその理由について把握しておくことは重要です。
盲目的な手法信者とならないために本記事が役に立てば幸いです。


■CCPMが効果を出しやすい適用先:全体像

最初にCCPMが効果を出しやすい適用先の項目を(2点ですが)まとめておきます。

★CCPMが効果を出しやすい適用先
・スコープ変更が発生しづらい業務
・チームを跨ぐ問題解決の仕組みのある組織

以下、それぞれの詳細について紹介します。


■スコープ変更が発生しづらい業務

CCPMでは比較的スコープ(行うべき作業項目全体)の変更が発生しづらい業務に向いております。
つまり、要件定義や研究活動のようなスコープが変化しやすい業務においては適用しづらいです。
常時変更が続くような業務状況においては、ソフトウェア開発においてはアジャイル開発、スクラムの手法を用いた方が向いているとも言えます。

まず、スコープ変更が発生してしまうことにより、CCPMでの管理がどのような影響を受けるか紹介してみましょう。
スコープ変更の影響
※クリックで拡大。

まず、上記図で何が起こったか?を説明しておきます。

スコープの変更によりタスクが当初の想定より増えました。タスクが増えることにより、プロジェクトの進捗率は減ります。
さらに、追加したタスクの工数を全体の工期は変えずに全体バッファ範囲で吸収することで対応したため、追加タスクの見積り分全体バッファが削減され、バッファ使用率も上昇したということです。

結果として、バッファ管理グラフが(通常考えるとおかしな方向の)左上に異動するという現象が発生してしまいます。

CCPMは多少のスコープ変化は全体バッファで吸収することも出来ますので、小さなスコープ変更の1度や2度くらいなら良いですが、この変更がより大きく、継続的に発生する状況であれば、適切に管理が出来るような状況にはならないと思われます。

CCPMでは「フルキット」と呼ばれておりますが、対象作業のスコープが決まっていて、比較的スコープの変化が発生しづらい対象に適用する方が向いております。
感覚的ですが、20%〜30%以上のスコープ追加・変更が発生するような状況では、ソフトウェア開発ではCCPMよりもアジャイル系の開発を行った方が向いているのではないでしょうか。逆に言えば、20%以下の変動率であればCCPMは適しているということも出来ます。

なお、このスコープ変動量の数値である20%はクリティカルチェーンの半分の大きさを全体バッファとするスタンダードな方法を行った場合の値であり、全体バッファ量を大きめに取ることでスコープ変動が大きい場合でもある程度対処は可能となります。

CCPMは比較的スコープが決まった状況下で実施することの多い”内部(詳細)設計、コーディング、単体テスト、結合テスト”といった範囲のプロセスには適しております。
他にも、テストケースの項目が決まった状況でテストのデータ作成、テストの実施を行う作業にも適しています。
※これらの作業においても、スコープが大きく変化する状況や不具合が非常に多い状況にはスコープが変わることに等しい状況になりますのでCCPMがうまく機能しない場合があります。


★本項目における参考記事
通常のCCPMバッファグラフの進捗状況
(原理編)CCPMの手順と問題解決の関連性
「■3.”バッファ管理グラフ”を用いた進捗の判断方法」に記載しております。


■チームを跨ぐ問題解決の仕組みのある組織

以前にも紹介しておりますが、CCPMは組織全体で扱うことが出来るほど効果を増すことが出来ます。
理由としては、「見積りの不確実性のβ分布」の統計性を活かすことが出来るから、という一言になりますが、もう少しだけ詳しく説明してみます。

見積りの結果が「見積もりの不確実性のβ分布」に従うとして、一部のタスク(統計的には50%)は早めに終わり、わずかなタスクは時間が非常にかかる状況になります。
ここで、50%の確率で早めに終わったタスクでのリソース、マネージャのリソースを活用して、見積りより時間がかかる状況のタスクの問題解決を行う活動がCCPMの仕組みの1つです。
統計的な理想
※クリックで拡大。

この際、小さなチームでは統計的な恩恵が得られるほどでは無く、確率的な偏りによって見積りより時間がかかるタスクを多数拾ってしまう可能性も有ります。(これには、チームのタスク見積りの傾向によるものも有りますが…)
偏るよね
※クリックで拡大。

このような状況に陥ってしまうと、そのチームのみの頑張りでは対処できず、遅れを受入れるしかなくなってしまいます。
対して、より大きく組織的にβ分布を考えると、他のチームでは比較的リソースに余裕のある状況かもしれません。
統計的にβ分布になるのであれば、より大きな規模でみるとリソースに余裕のあるチームが発生しても不思議ではありません。

この統計的に発生しているだろう他チームの相対的な空きリソースを活用することで、1つのチームでは解決できない問題を解決することで効果を出す、というのがCCPMが効果が出る体制となります。
もっと広く考えよう
※クリックで拡大。

ここで簡単にまとめてみます。

・タスクは見積もりの不確実性のβ分布に従う(前提)
・1つのチームではβ分布にならないかもしれないが、大きく組織的にみるとβ分布の統計に従いやすい
・1つのチームでは厳しい場合に、他チームはリソースが空いている可能性が有り、他チームのリソースまで活用出来るとCCPMの効果がさらに得られる

なお、CCPMでの効果の限界は組織の問題解決力(Management Attention)に依存すると言われております。組織的な問題解決力を最大限に発揮できることでCCPMの効果を最大にすることが出来る、ということですね。


さて、以上の内容を踏まえて考えてみましょう。

組織的に、下記図のような状況ではCCPMの効果は限られてしまいます。
(本記事のシリーズで紹介している内容ですが…)小さくCCPMを実施した場合の限界はこの状況で明確化します。
知らないよー組織
※クリックで拡大。

下記図のようなチームを跨ぐ問題解決の仕組みのある組織であるほど、CCPMの効果は最大限に発揮できるようになります。
バッファ管理グラフを用いることで客観的指標からチームを跨ぐ問題の優先順位を判断出来る点が効果的ですね。
支援可能な組織
※クリックで拡大。

当然、組織全体でCCPMに取り組むことのできる企業などは(上手く運用できていれば)そのメリットを十分に受けることが出来る可能性が高いです。

CCPMを小さく適用する場合においては、問題解決に対するメリットを十分には受けることが出来ないことありますが、それ以外にもCCPMの良さは多数あります(”目標が簡単に共有できる”、”問題の把握が楽になる”、”終了日が予測できる”)ので、それを上手く引き出して活用してみましょう!


★本項目における参考記事
見積りの不確実性のβ分布
(原理編)プロマネで発生しやすい問題 Д織好編(前編)
「■(参考)見積りの不確実性」に記載しております。

組織的なCCPM
(原理編)CCPMの手順と問題解決の関連性
「■(参考)問題の解決方法(組織的な構成)」に記載しております。


以上、2点だけですがCCPMが効果が出しやすい適用先とその理由について紹介してみました。
CCPMの原理に詳しくなると上記は自然と理解できる内容ですが、応用編として知っておくと便利な内容かもしれません。
CCPMも適用先により効果が出づらい場合がありますので、安易に手法を否定せず、上手く良く適用先に活用できるようになって頂ければ幸いです。


次回は、CCPMの仕組みが動き始めるまでの活動で苦労することになる、CCPM適用までに発生するよくあるステップについて紹介します。
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