どしろうと製作所:WebLog

どしろうと製作所のBlogバージョンです。
「どしろうと製作所」のHPの記載内容とはあまり関係無いです。
気が向いたときのみ更新します。
「根拠なし」問題に立ち向かおう!
既に2回ほど書いてますが、こちらも「ETロボコン Advent Calendar 2016」向けに書いてみました。

先日の「読みやすいモデルの重要性とコツ(そのその)」に続いて、モデル表現に関した内容となります。

ETロボコンの性能審査を中心としてモデル審査を行う際に、典型的な傾向がありますので紹介しておきます。
まあ、ETロボコン以外にも役立つ内容かもしれません。

ETロボコンにおけるモデル審査では性能審査項目として「制御戦略」や「要素技術」といった項目があります。モデル上位に評価されるためにはこれらの検討が必須となります。
さて、こちらの項目に焦点をあててよくある傾向を紹介してみます。


■よくある傾向

ETロボコンのモデルでみられる傾向ですが、ひとことで表現すると以下となります。
・制御戦略 ⇒ やります宣言
・要素技術 ⇒ 陳列棚

↑で思い浮かぶ人もいるかもしれませんが、簡単に解説しておきます。

制御戦略の「やります宣言」
「XXと走ります!」という感じですね。極端な例を紹介すると、「ロケットスタートを決めて、最短距離を走り、ゴール後の難所は確実に通過する」という記述だけの場合です。

これでも上位の走行に入り込むチームもおりますが、恐るべし調整能力ッ!といったところです。
ただ、モデルとしては残念ながら「根拠なし」ということで評価は低くなってしまいます。

要素技術の「陳列棚」
技術項目を並べて「これ使いますよ」と陳列棚に並べて見せるような感じです。
ETロボコンでは過去からの技術の蓄積が多々あり、過去モデルや最近ではWebからも多数の情報を確認することが出来ます。
これらの「技術を使う」、「技術を組合せて難所攻略などに活用する」ことは多くの参加チームが出来ているように見えます。

ただ、モデルで要素技術を示す場合には、過去の情報をコピペした並べるだけでは不十分です。「なんでこれ使ってるの?どこに使ってるの?」が分からない場合には評価は低くなってしまいます。


■じゃあ、どうする?

それでは審査基準に従ってやってみよう!ということも思い浮かびますが、モデル審査規約(2016年度版)の性能審査項目を見るとこうなっています…

--------------------
カテゴリ:制御
スピード競技やゲームを解く際に必要となる制御技術が、正しく記載されているか?

要素技術:
必要な要素技術についての調査・検討・検証結果が記載されているか?

制御戦略:
定義された要素技術を使って、必要な機能をどのように実現しているかが記述されているか?
--------------------

イマイチ分かりづらいですね…
※短い言葉で紹介しないといけないので、こうなってしまうのです。仕方ないのです!

では、どうしましょうか。
(特に性能審査における)モデルでは「なぜ上手く行くのか」を「根拠」として示す必要があるのです。

それでは、なぜ根拠を示す必要があるのでしょう?3点ほど紹介してみましょう。

・より確実にものづくりをするため
 モデルは実際のものづくり前段階での検討結果を示します。これから作るものに対して、明確な根拠が無いまま進めてしまうと失敗の可能性が高まります。そのため、成功に近づけるためには「根拠」があった方がよいでしょう。

・再現性を高め、より多くの人が使えるようにするため
 技術は再現性を高めつつ、より広く、多くの人が使えるようにすることで価値が高まることが多いです。多くの人が使える、より広い分野で使えるようにするためには、「根拠」を示して上手く行く理由を示す必要が出てきます。

・複数メンバーでの活動をより納得して行うため
 複数メンバーで活動する際には、より納得感がある情報があると効果的です。
 ここで記載したような「なぜ必要か?」を示す「理由」や「根拠」がある方がより納得して取り組みが出来るはずです。


…と、いうことで「根拠」が大事っぽい感じがしてきました。
それでは、根拠の取り扱い方を考えてみましょう。


■「根拠」を扱ってみよう!

さて、ここで根拠を取り扱う方法を1つだけ紹介してみます。ツリーでの検討方法です。

ちょっと古いネタですが、LEGO Mindstorm NXT(EV3の前のバージョン)を用いた倒立振子走行体での技術を例とします。
こちらのNXTでの倒立振子ロボットは、ジャイロセンサタスクの周期を4msにする必要がありました。

この「4ms」の周期にする「根拠」を考えてみましょう。
主張だけ

主張したい「4ms」の周期設定に対しての根拠を3つ配置してみました。
これらの根拠を用いることで、納得感のある説明が出来そうな感じがしてきます。
根拠追加〜

また、以下の場合は間違った主張をしていることに気付くでしょう。
誤りを含む場合

…というように、主張に対してツリー構造でいくつかの根拠を配置して考えるというのはスタンダードな方法です。
考える練習をする場合には、「マインドマップ」などを用いて検討するクセをつけると少しずつレベルアップします。

ただ、主張-根拠の関連(ロジック)は正しい場合でも、以下のような場合で上手く行かないこともあるのが技術検討の難しく面白いところです。
ロジックはあってる

上記では、技術(センサ周期)の誤解をしていますが、ロジックは正しいです。この誤りの発見は技術や知識を持つ人の役割になるでしょう。

このような不安がある場合には、より根拠となる情報を追加することで確認をすることで「確からしさ」を高めることを出来ます。
根拠をさらに追加


このように、根拠を検討する場合は、ツリー上で一旦構造を考えることで整理がやりやすいです。
この検討後にETロボコンであればモデルとして文書や説明へ展開して貰えると良いでしょう。


■根拠があると良いところ

さて、既にいくつか紹介はしてますが、根拠があると良いところを簡単に例として紹介してみましょう。

例1:改善箇所のあたりをつける
紹介したジャイロセンサの設定ですが、NXTのセンサによる制約であることが伺えます。

それでは、2016年で使われているEV3では同様の制約があるか?と考えることが出来ますね。
EV3のセンサでは4ms以下の周期で情報が取得できるため、より短い周期で倒立振子の制御が出来る可能性が有ります。

単にセンサの制約だけでは周期変更は出来ないでしょうが、倒立振子の制御周期が短くなるのであれば、より速く走ることが出来る可能性もあるかもしれません。

例2:自信を持って修正する
こんなコードがあったりします。
謎のコード

上記を修正する場合、非常に不安になると思います。しかし、上手く行く根拠、上手く行かない理由が根拠であれば自信を持って変更が出来ますし、不安も減るはずです。

このように、根拠を明確にすることは価値があって、モデルでも高評価と判断されるのですね。


■根拠の整理と確認方法

根拠整理を構造的に示すことについてジャイロの例でざっくりと紹介しました。

ツリー構造を考えるような場合には、「なぜならば」と接続詞を入れて考えると良いでしょう。
この主張と根拠の構造は、複数の階層的になる場合も有ります。
階層構造の例

主張と根拠が正しいかを確認する方法としては、まず1つの階層のみに着目して集中チェックします。
集中してチェック!

ここで、同一の階層で抜けが無いだろうかを確認します。
横の階層チェック

次に上下の繋がりがおかしい部分(飛躍、無関係な繋がり)が無いか確認します。
上下のチェック

このように確認を行うことで、根拠の怪しい部分を発見してより良い説明が出来るようになるはずです。

普段からマインドマップのツールを使って練習すると良いでしょう。
ETロボコンではastah*が使えると思いますので、マインドマップを意識して活用してみてください。
練習しよう!


■参考知識と参考文献

今回の紹介内容のキーワードは以下のようなものがあります。
・ロジカルシンキング、ロジックツリー、論理思考

また、興味がある方は以下のような本を読んでみると良いですよ。
※リンクはつけてません…

・(入門書)3分でわかるロジカル・シンキングの基本
・(入門書)世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
・(論理思考を学ぶ一冊)ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル
・(論理思考から問題解決へ)仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法


普段から根拠を考える活動を繰り返すことで考える速度も向上しますし、その分仕事の速度も向上します。
ETロボコンでも業務に対してでも、こちらの内容が多少でも参考となりましたら幸いです^^
| ロボット | 07:22 | comments(0) | - |









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